2023/01/09 Mon
fusekido Ohyama wrote
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家系、二郎系、あっさり系などなど。ラーメン店を語るうえではまずラーメンのジャンルを定義してから語るのがセオリーなのだろうか。
ラーメンは熱狂的なファンが多い食べ物である。私が初めてラーメン通の熱量を感じたのは、18歳の時。あれは友人に連れられて行った神保町の●郎だ。ラーメンを食べるためだけに30分以上は並んだ。そして出てきたラーメンは大量のもやしと分厚いチャーシュー。食うか食われるかの雰囲気の中で、食べたらすぐ退席しなければならない暗黙のルール。
そう。ラーメンを語るにはこうした数々の修羅場をくぐったものだけ許されるのである。
神保町のラーメンを経験してからというもの、私はラーメンという食べ物を語るのに気圧されてしまった。数々のラーメン店に通い、自分好みのラーメンを見つけては、人に勧め、また新たな店を訪問するぐらいの熱量がなければラーメンを語れないと思った。しかし、ラーメンは、何も「通」だけのものではない。カップ麺、インスタント麺、生麺がスーパーに並ぶ、国民食である。そんな日本のソウルフードを紹介する機会をいただきたい。
今回訪問した弥惣吉(やそきち)は、鶏ガラスープ+太ちぢれ麺と、煮干し+ストレート麺が選べる。どちらもおすすめだが、本記事では煮干し系に絞って記載していく。
煮干し系というと、つけ麺のスープでイメージされるような、こってり魚介系であった。しかし弥惣吉のにぼしスープは澄んだスープで煮干しのえぐみが一切なく、ライトな味わい。そこに細麺パスタのような自家製のストレート麺が、デフォルト固めに提供され、スープとよく絡む。
ラーメン、うどんはそばと違い、麺自体の風味を味わう食べ物ではないと考えている。すると、如何に麺とスープを絡めて、食べてもらうのかが重要となる。
鶏ガラスープと煮干しスープで麺が異なるのは、スープ自体の粘り気が異なるため、麺との相性を考えた結果なのだろう。案外スープによって麺の種類が異なるラーメン屋は少ないことから、弥惣吉のこだわりが理解できよう。
また、ラーメンの大黒柱である麺とスープのみならず、弥惣吉のラーメンはメンマも独自のたれに付け込んだピリ辛な味付けで抜かりない。そしてチャーシューも正統派。ラーメンを構成するそれぞれの食材の中で、主張しすぎることなく、あくまで引き立て役に徹している感がある。
もしかしたら、各店舗のラーメンをジャンル分けするのはナンセンスなのかもしれない。それぞれの店舗が持つ個性を受け止め、趣向により行くお店を決めるだけでいいのだ。
ジャンル分けしようとするから、ラーメン界隈が複雑になる。もっと肩の力を抜いてラーメンを楽しんでいきたい。
十分な駐車場と、徹底したオペ―レーションにより、人気店でありながらスムーズにラーメンを頂ける。
本ブログでは写真が用意できなかったが、モツ煮もおいしい。